メルマガ コラム集~水落 立平編

2017/03/02

篠笛協会よりのメルマガ。月1回で配信いたしております。

篠笛奏者のちょっとコアなお話、篠笛協会の会員様限定で過去のメルマガコラムを集めてみよう企画は当協会会報2号でも行っているのですが、メルマガ配信はそれ以後も続けておりますので、「会員さま限定」で「メルマガ コラム集」ページを作成致しました。

お得な情報、耳寄りなお話し、意外な情報などございます。どうぞご一読下さいませ。

 

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2016年6月メルマガ11号より
【篠笛、日々のお手入れ】
今回は篠笛の日々のお手入れ方法をご紹介します。吹き終わったら、市販されている「つゆきり」を使用して、つゆを拭いさるのもよいと思います。
おもりを唄口から入れて、管尻から引き抜きます。
1回ではつゆを拭いきれないので、数回やるとよいでしょう。リコーダーやフルートのように長い棒にガーゼをつけて、管尻から入れて水分をとるのもよいと思います。
その際に入れすぎて蜜蝋を傷つけないように注意しましょう。
おすすめは100円ショップで売っている「ねこじゃらし」のじゃらす部分を取り外して、棒の部分にガーゼをつけて使用するのがいい感じです。
棒がしなやかに曲がるし、管内を傷つけにくい素材です。金属ですと管内を傷つけてしまわないか、少々心配です。
「ねこじゃらし」は何より安いです!是非ともお試しください。

冬場は乾燥していますので”つゆ”をとらない、吹いたらそのまま、というのも一つの方法です。
管内清掃は唄口や管内を傷つけるから、やらないほうがいいという話も聞いたことがありますが、やらないよりはやったほうがいいと思います。
また、年に数回でしたら、水道の蛇口から管内に水を通すのもよいと思います。音も気分もすっきりします。
その際は、すぐにつゆきりをして、管内の水分を拭き取ってくださいね。

唄口や指孔の側壁もお掃除したいところです。
綿棒に水や、アルコールをつけて拭き取ってください。
実は、ここはとても音に影響しやすい箇所です。
本番前夜など、ご自身で時期を決めてお掃除することをオススメします。

笛の表面は柔らかい布で拭きましょう。
高級車やグランドピアノを拭いたりするのに使用する「鹿皮」がオススメです。
「鹿皮」はインターネットでも購入できます。

よく、笛の表面に油を塗るような記事を目にしますが、あれはオススメできません。
なぜなら、油分は漆の硬化を確実に遅らせます。
前々回のメルマガでもお話しましたが、漆の硬化には10年かかるとも言われていますので、油分はよろしくありません。

漆を使用していない、素竹の笛でしたら割れ防止に一定の効果があるかもしれません。
ただ、竹に油が浸透すると、竹自体が柔らかくなってしまいますので、音に影響がでてしまいます。
柔らかい素材は、柔らかい音質になります。こちらは好みにもよると思います。

大事な篠笛を、末長く愛用するために、日々のお手入れはとても重要です。
かわいい篠笛たちを是非、今日からお手入れしてあげてくださいね。
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01:梅雨と漆と篠笛と

梅雨ですね…
人や洗濯物にとっては憂鬱な季節ですが、篠笛にとっては音にも、楽器にもよい季節です。

笛に塗る漆にとっても、梅雨時はよい季節です。
カシューなどよくある一般的な塗料は、乾燥させて硬化させますが、漆はその逆で高温多湿の環境で硬化させます。
だいたい気温25°C、湿度75%くらいが理想的な条件です。
その為、漆風呂(うるしぶろ)という室に入れて温度、湿度管理をします。
赤、白、青などの色漆は温度、湿度が高すぎると色が暗くなってしまいます。
なので綺麗に発色させるため、今の季節は漆風呂に入れる必要がないくらいですね。
欧米の乾燥した環境では、漆はなかなか乾かないと聞きますから、まさにアジアの塗料といえます。

漆が完全に硬化するには10年かかるとも言われています。
笛の場合は、息の湿気によって漆の硬化を促進させるという側面もあると思います。
またその硬化の過程で、息が管内を通ることで、漆の表面に非常に細かい傷をつけていきます。
これが自分だけの息の道=笛が育つ、ということにつながっているのではないかと考えています。
ちょっと神秘的ですね。

最近、ヒビ割れの修理が多くなってきています。
これからの季節、篠笛の取扱いには以下の2点にご注意ください。

1.エアコンの風が直接、笛に当たらないようにしましょう。
2.屋外で演奏する時は、直射日光が長時間当たらないようにしましょう。

余談ですが、これからの季節、お祭りなどで野外で演奏する機会があると思います。
気温30°C以上の屋外で合奏する場合、どんどんピッチが上がってしまって、
めいっぱいメリ吹きしても音程を合わせられなくなってしまいます。。。

これを解決する秘策を伝授しましょう!
実はとても簡単。
クーラーバッグと保冷剤、同じ調子の笛を2管用意します。
片方をクーラーバッグに入れておいて、演奏中にピッチが上がってきたら笛を交換するのです。

同じ調子の笛を2管も持っていないですって?
安心してください(笑)
現在、屋外でも気兼ねなく使えるような廉価版の篠笛を開発中です。
楽しみにしていてくださいね♪
フルートみたいにチューニングできる篠笛を開発しなさい、という声も聞こえてきそうですが。。。

水落立平・文