メルマガ コラム集~岸田晃司編

2017/05/07

篠笛協会よりのメルマガ。月1回で配信いたしております。

篠笛奏者のちょっとコアなお話、篠笛協会の会員様限定で過去のメルマガコラムを集めてみよう企画は当協会会報2号でも行っているのですが、メルマガ配信はそれ以後も続けておりますので、「会員さま限定」で「メルマガ コラム集」ページを作成致しました。

2017年より横笛奏者の方々より寄稿頂いております。
岸田晃司さんのコラムをお送り致します。ありがとうございました。

岸田晃司さんのHPはこちら http://kojikishida-fue.com/Top.html

お得な情報、耳寄りなお話し、意外な情報、小ネタ??などございます。どうぞご一読下さいませ。

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2017年3月 メルマガ17号より

第3話 良い音で聴くススメ
篠笛能管の岸田晃司です。
2017年最初のコラムから続きまして連続3回目のコラムとなります。
3月になり、まもなく桜の便りも届く頃ですね。
1月2月ともに自分のCDの事をたくさん書かせていただき、また苦情がくることもなく皆さまに読んでいただき(笑)、本当にありがたい限りです。
新CD『えん』の解説やレコーディングなどの製作工程などを主にまとめさせていただきましたが、今回はそのCDやDVDなどに収録された音楽を良い音で聴く事のススメと、さらに「聴き方」という視点にも注目して書かせていただきたいと思います。

みなさんは普段どんな風に音楽を聴いていますか?
車や電車などでの移動中だったり、ご自宅で家事をしながらだったり、BGMとして聴く方が多いと思います。
今や日常にもたくさんの音楽が溢れていて、街中やテレビからまったく音楽がなくなったらと思うと恐ろしいです。
知らず知らず音楽が耳に入っていて、当たり前すぎてもはや忘れるくらい。
携帯音楽プレーヤーやスマートフォンも当たり前になって、音楽がいつでもすぐそばで聴ける時代になりました。
僕もだいたいいつも何かしら音楽を聴きながら生活している事が多いですね。
こうして書いている今も聴きながら作業しています。
そういったBGMとしての音楽というのはとても大きな意味と力があります。
しかし、このコラムをご覧の皆様は、笛が上手になりたいと思っている方ばかりだと思いますので(笑)、BGMとしてだけではなくもう一歩進んだ聴き方をしてみると、もっと色々なものを吸収できて更なるレベルアップにも必ず繋がります。
そんな学ぶための音楽の聴き方をいくつか、僕の視点からお話します。

まず聴く姿勢として、ぜひ集中して音楽を聴くだけの時間を作ってみてください。
ライブやコンサートの生演奏ではじっと耳を澄まし、時には目を瞑って、じっくり音楽に浸り、「感動した!」とか「モチベーションがあがった!よし自分も練習しよう!」とか思うのに、なぜかCDとなると何かをしながらのBGMになってしまう事が多いと思います。
もちろんそれ自体は悪い事ではないんですよ。
しかし一流の音楽家の素晴らしい演奏とヒントが詰まった音楽が、たった数千円で、会場に行かなくてもいつでもどこでも聴けるのに、BGMだけにしてしまってはもったいない!と僕は思うのです。
ぜひ「ライブやコンサートを観ている時と同じ感覚で、目の前で生演奏を聴いている」ような気持ちで、CDの音にもじっくり耳を傾けてみてください。

さて、ここまでお話しして、皆さんからの反論が聞こえてきそうです。
「だって会場の生演奏は空気の振動を体で感じられるし迫力あるけど、CDは自宅では大きな音量で聴けないし」
はい、仰る通りです。
CDに生演奏の迫力を求めるのは酷です。
しかしながら収録されている音は紛れもなくプロの生演奏です。(打ち込み音楽とか編集されているとかそういう事は抜きにして)
篠笛の場合、コンサートなどでも「極々小さな音から滑らかに入ってくる音」や、「か細いまますーっと消えていく音」に、ゾクゾクとした感動を味わう事がありませんか?
その時感じるのは「音量による迫力」ではなくて、奏者が醸し出す張り詰めた緊張感や雰囲気による「空気感」です。
この空気感という表現はとてもアバウトではありますが、みなさんもなんとなく感じた事があるのでは?
迫力ある演奏にも空気感は存在するし、たった一音表現するのにも空気感は存在するし、そしてCDなどの音源からもこの奏者の醸し出す空気感を感じ取る事が出来ます。
それに気づける耳を持ってほしいんです。

そのために必要なのは、できるだけ良い音で音楽を聴く事。
ここでいう良い音というのは完成されたCDそのものの音、つまり「ミュージシャンがレコーディングスタジオで作った意図した通りの音」、そしてそれを出来るだけ高精細に再生された音、という事です。
これはよく「原音に忠実な」などと表現されます。
スピーカーやイヤフォン、ヘッドフォンの売り文句としてパッケージに書かれていたりするので、お求めになる場合はひとつの目安として参考にすると良いかもしれません。
メーカーによって低音を強調した設計にしている(それが音圧があって良い音と誤解されやすい)場合があったり、また値段もピンキリで、しかも何万もする一見高級なものでもそれが求める適切な音を出すものとは限らないので、高ければ良いってものでもありません。
とはいえあまりにチープなものだと逆に低音がスカスカで高い音がやたらと耳に突き刺さる傾向のものが多い気がしますので、なかなか値段と性能のバランス的に「これだ!」というものを見つけるのは大変です。
僕もいろいろ試してきましたが、イヤフォンで個人的に最近気に入っているのは有名なBOSEというメーカーのものです。
一万円ちょっとと高級品の中ではかなりリーズナブルな方で、音もとてもバランスが良いです。
BOSEというメーカーは以前はかなり低音を強調した音に特徴があったのですが、最近は低音も活かしつつシンバルなどの高音もとても綺麗に滑らかに鳴る音作りになってきた印象です。
ヘッドフォンでしたらAKGというメーカーが好きですね。
スピーカーに関しては、いわゆる電気屋さんに売っているような民生品のCDコンポなどよりは、やはりミュージシャン向けに作られたものの方が間違いが少ないです。
ただそういったスピーカーは他にミキサーやアンプ、CD再生機器(iPodなどでも良い)なども用意しなければならないので、イヤフォンを選ぶより少しハードルが高いかもしれません。
もしそういった機器を調べて揃えられる場合は、「モニタースピーカー」という部類の中から選ぶと原音に近い設計のものが多いので良いと思います。
モニタースピーカーというのは、レコーディングスタジオでミュージシャンやエンジニアが録った音を編集する際に聴くためのスピーカーで、極力脚色のない設計を基本としています。
ミュージシャンは音作りにこだわりをもって音楽を作っています。
低音を強調したい時はそのように演奏し、編集し、その逆もまたしかり、優しい音を奏でる人、激しく情熱的な人、和楽器、洋楽器、電子楽器など、実に様々な意図を持って音を届けます。
個性的なのはミュージシャンの音楽の方であって、再生機器はそのままそのものを再生出来れば無個性で良いのです。
機材を選ぶ時、僕は女性ボーカルの声と、ドラムの音(特にシンバルとバスドラム)を基準によく聴きます。
声の質感や、ノイズ成分の多いドラムの音がきちんと聴こえると、全ての音域がしっかり鳴らせる機材なんだなと判断します。

そんな原音に忠実で、高精細で再生出来るイヤフォンやスピーカーで聴く音はそれはもう鳥肌ものです。
まるで目の前で本物の楽器が鳴っているような音、その空間の広さまで見えてくるような響きで聴こえてきます。
例えばピアノなら、アップライトピアノなのかグランドピアノなのか、違いが明確に感じ取れるレベルです。
そうやってどんな楽器が使われているか想像しながら聴く事もまた楽しくなりますし、音色に対する耳の敏感さが鍛えられますね。
左右のスピーカーのどちらからどの楽器の音が鳴るかという定位もクリアになるので、今まで聴こえていなかった「こんな楽器まで使われていたんだ!」なんて発見もあったりします。
そんな風に隅々まで音が聴こえるようになったら、今までとは音の感じ方がまるで変わってくるはずです。
歌手や奏者の息遣いがリアルに、指使いも、プレイヤーの表情までもが観えてくるようです。
奏者がどんな演奏をしているか(強弱、リズム、メロディの唄い方、アレンジetc)、どんな気持ちを込めているかも想像して、すべての情報を聞き漏らさないように集中してください。
いつしか音を聴くのではなく「感じる」ようになると思います、まるでライブを観た感動のようにです。
こうしてプロの音楽がいかにして成り立っているかが見えてきたらしめたもの。
技術的に上手な人は世の中にごまんといますが、プロはテクニックだけではありません。
「人を感動させる音楽」を奏でられる人です。
その音を表現するためにまた技術的な練習も当然しなければならないのですが、それ以上に重要かもしれないくらい、とても大事な事です。
表現したい音があって、その先にテクニックが付いてくるのです。
そこまで深く聴き込む事で、今ご自宅にあるCDも最高の教材となり得ます。

いかがでしたでしょうか?
活き活きと良い音で再生された音楽は、きっとみなさんの「良い耳」を育ててくれます。
ぜひ音と聴き方に敏感になってください。
そしてみなさんの演奏そのものが良い音楽になりますように!

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2017年2月 メルマガ16号より

第2話 CD制作の工程

早いもので一ヶ月が過ぎた2017年、皆さんいかがお過ごしですか?
二回目のコラムを書かせて頂きます、岸田晃司です。

前回のコラムでは僕のCDの中身や思いなど書かせて頂きました。
皆さんのお手元にも好きな歌手など数々のCDがあると思いますが、今回はそんなCDがどのような工程を経て出来上がるのか、僕のCD制作と照らし合わせながら簡単ではありますが書かせて頂きます。

まず最初にこれがなければ始まらない事、それは新しいCDを作りたい動機とモチベーション。
モチベーションがないとこの先の大変な工程を乗り切れません(笑)
その段階でコンセプトや方向性も同時にイメージしていきます。

さあコンセプトは決まった。
ここからは具体的な事を悩んで悩んで悩みまくります。
収録する曲、曲順、アレンジ、レコーディングスタジオ選び、ミュージシャン選び、CDジャケットのデザインなどなど、考えることは山盛りです。
眠気と戦いながら毎日楽譜やパソコンとにらめっこする日々の到来。
当然ここが新しいCDの核となる一番大事な部分なので妥協のないよう慎重に、ときに勢いに任せて大胆に、ミュージシャンやデザイナーさん、スタジオのスタッフさんとも打ち合わせを重ねて煮詰めていきます。
可能な限り時間と経費を惜しみなく費やします(笑)
最近はインターネット上で配信される音楽を買う事も当たり前になりましたが、どんなアーティストさんも音の中身だけでなくジャケットデザインにも拘っているはずですので、配信音源はなんだか寂しい気がしますね。

そうこうしているうちに、肝心の音のレコーディングも進めないと発売日に間に合わなくなってきます(笑)
レコーディングスタジオでは、レコーディングエンジニアさんとの共同作業。
ミュージシャンの演奏を実際に録音してくれる方ですね。
理想とする音を録るために、どのマイクをどのように設置してどのように演奏するか、ミュージシャンとエンジニアの経験をもとに相談して決めていきます。
笛の場合はマイクと自分の立ち位置、距離、角度を気にしながら何度も試し録りをして探ります。
和楽器を録り慣れているエンジニアさんは少ないうえ、特に音色が繊細なので実際に耳で聞こえる音と同じ音に録るのは本当に難しいんです。

マイキングが定まったらいよいよ録音開始。
ここから先はスタジオの限られた時間の中で体力勝負、時間をかけて作ってきた曲とアレンジを、ただひたすら集中して演奏します。
録音の方法は曲により様々。
僕のCDの場合、独奏曲と、二重奏の曲は一発録りをしました。
これは曲を最後まで通して一度に録る方法、つまりライブです。
この方法のメリットは、拍子のない曲の独特の間などをその場で演奏家同士呼吸を合わせやすい事。
デメリットは、間違えられない。
万が一曲の最後にミスったらもう一度頭からやり直し、共演のミュージシャンからの非難は避けられない危険と隣り合わせの方法です(笑)
大太鼓との二重奏曲に関しては、同じ部屋で演奏すると笛のマイクにも大きな大太鼓の音が録音されてしまうためブースを分けてヘッドホンで相手の音を聞きながら録音しました。

他にたくさん楽器が重なっている曲ではそれぞれ別に録音していきます。
まずは太鼓やドラムなどのリズム楽器から。
ヘッドホンをしてテンポに合わせたクリックを聴きながら演奏するわけですが、さすがのミュージシャンの皆様、素晴らしい精度でリズムを合わせます。
当たり前ですがこういうところがプロたる所以のひとつですね。
リズム楽器が録れたら、今度はその音を聴きながらベースやピアノなど上物楽器を重ねていき、最終的にメロディ楽器を録っていくというのが、ほとんどの場合で一般的な流れになります。
今回僕のCDの神馬という曲ではミュージシャンのスケジュールの都合上、ドラムとベースより先にピアノを録音しなければならなかったのですが、後でドラムを録ってもピタリと合うリズム。
ピアニストもドラマーも、クリックに正確に演奏するからこそ為せる技です。
ただし、必ずしもまるで機械のように演奏しなければならないという意味ではありません。
微妙なズレやウネリなどが人の手によるグルーヴとなります。
ポイントによりわざとテンポのジャストなタイミングから少し早く、遅く、音を出す事も普通にあるんですよ。
みなさんもメトロノームを使った練習をしっかりやりましょう(笑)

すべての音が録り終えたら今度はミキシングという作業に入ります。
基本的にはすべての楽器の音がバランス良く聴こえるように、それぞれの音量や音質を調整したり、ステレオスピーカーの左右どの位置からどの楽器が聞こえるようにするかなど、文字通り音をミックスしていくイメージですね。
ここで作り上げた音が最終的にCDに収録される曲となるので、ここもとっても大事な工程です。
ホールで鳴っているような反響音を足したりするのもこの段階です。
独奏曲は楽器が一つしかないので他の楽器とのバランスは考える必要がなく楽なのですが、曲により楽器が多くなればなるほど複雑な調整が必要になってきます。
ドラムや和太鼓セットだけでも、たくさんのマイクを立てて録るのでそれぞれのマイクの音量や広がりを考慮しなくてはいけません。
こういう時、人の耳(脳?)って本当に優秀だなぁと思います。
日常生活でたくさんの生活音やノイズが鳴っているはずの環境でも、聞き取りたい情報にだけ耳を傾け聞き取る事が出来ますよね。
仮にその音をすべて録音して機械のスピーカーから同じボリュームで鳴らしたら、ぐっちゃぐちゃでとても一つの音を聞き取る事は難しくなります。

ミキシングで納得のいく音が作れたら、いよいよ最後の工程マスタリングの作業です。
ミキシングが「楽器ごとの調整」だとしたら、マスタリングは「曲ごとの調整」といった感じ。
一枚のCDを作るのに複数曲収録される場合、当然曲によって編成が様々なので音圧にもばらつきがあります。
それをそのままCDに収録してしまうと、聞いている時に一曲ごとに音量を上げたり下げたりしなければなりません。
なにより急に音量があがって耳を痛めないために、音圧を揃える事はとても大事です。
僕のCDは笛の独奏もあれば、バンド編成の曲、大太鼓が入った曲もあり、ここを揃えるのにめちゃ苦労しました(笑)
ミキシングとマスタリングの工程では、仮で作ったものを自分の携帯に入れてイヤフォンやヘッドフォンで聴いたり、家庭用のラジカセで聴いたり、通常良くある使用環境に合わせて試聴してみてまた調整、を何度か繰り返し仕上げていきます。
スタジオの良いスピーカーやヘッドフォンだと良く聴こえてしまいますし、皆さんが聴く段階で最良の音となるように調整するんですね。
僕の場合は一度マスタリングしたあと納得いかなかったので、もう一度ミキシングに戻り調整しなおして再度マスタリング、ついについに完成となりました。

いかがでしたか?
たいっへん長くなってしまいましたが(特にレコーディングに関して)、実際にはここに書ききれないほど細かな工程もまだまだあります。
一人のアーティストのCDが完成するのには、たくさんの専門家の手がかかっているんですね。
ミュージシャン、デザイナー、エンジニアのまるで魔法の様な技の数々で、自分の作品がどんどん輝いていくのを目の当たりにすると、感謝せずにはいられません。
デザインと音が完成した後は、プレス業者にデータを入稿して製品となるCDそのものを製造してもらう工程になります。
データが自分の手から離れた後はもう何もする事はなく、ワクワクしながら届くのを待つだけ。
このプレス屋さんもただただ製造するだけではなく、ジャケットの紙のタイプであるとか、オリジナルのサイズであるとか、イメージをもとに提案してくださる、アーティストの作品作りに大きな影響をもたらす専門家の一人です。
この後お客様の手に渡って本当の完成ですね(^^)
たくさんのご予約と嬉しい感想を頂いたりすると泣けます(笑)

このようにして完成したCDを、いかにして聴くか。
音楽を勉強する上で、習う事、実際に演奏を観に行く事はとても大切です。
さらに、聴く事。
あまり意識される事のない音楽の聴き方に着目する事で、今ご自宅にあるCDも勉強の教材となりえます。
生演奏とは違いますが、最高峰のミュージシャンの演奏と手法が詰まった音源をたった数千円でいつでも目の前で聴けるのですから、活かさない手はないのです。
もちろんただただ楽しんで音楽を聴く事もあり、それはそれ。
次回のコラムでは、そんな可能性を広げる音源の聴き方を、ソフト面とハード面それぞれの視点からお話したいと思います。

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2017年1月 メルマガ15号より

第1話 New Album『えん』のお話のお話し

会員の皆様、明けましておめでとうございます!
本年も皆様のお役に立てる情報をたくさんお送りしてまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
そして初めまして、篠笛・能管奏者の岸田晃司です。
新年最初のメルマガコラム、演奏家会員として初めて文を書かせていただく事になりました。
いきなり自分のCDの宣伝の様になってしまいますが(笑)、昨年11月27日に発売した私のNew Album『えん』のお話をさせて頂きます。

僕の最初のオリジナルCD「タマノ音」は2012年に発売。
7曲入りで全て篠笛の独奏曲という、今考えたら結構恐ろしいことだったなと思いますが(笑)、当時は独奏を追求していた時期でたくさん曲を書いていました。
その中から自信作や、お客様に好評頂いた曲をまとめCD化。
そのタマノ音発売からこれまでの4年間、実にたくさんのミュージシャンやお客様方とのご縁を頂く中で、これまたたくさんの曲が生まれました。
その曲ひとつひとつに、お顔を思い浮かべる事が出来るくらいの思い出があります。
今回のCDはそれらの曲から厳選し、いわば4年間のベストアルバムの様なCDに仕上がりました。
その名も『えん』。
えんとはそのまま縁の事です。

前置きはこのくらいで、中身の話!
笛だけでなく様々な楽器の奏者をゲストに招き、編成も様々、全10曲入り60分というボリュームになりました。
篠笛独奏、篠笛二重奏、篠笛×能管、篠笛×和太鼓、篠笛×二十五絃箏、篠笛×ピアノ×和太鼓、篠笛二重奏×和太鼓、篠笛三重奏×バンド、これだけの内容が一枚で聴ける、かなりお得だと思います(笑)
曲調も、キャッチーでポップな曲、古典的な曲、幻想的な曲、ジャズテイストな曲など、これまで演奏してきたそのままのアレンジと、新しいアレンジも加え、やりたかった事をやりきりました。
篠笛と一言で言ってもその音楽はたくさんのジャンルがあって、好みも人によりけりですが、そもそも和楽器を知らない人にも、もちろん知っている人にも、かっこいいと思ってもらいたい、そんな思いを胸に作り上げました。

買っていただいたお客様や生徒、みなそれぞれ「これが好き!」と言ってくださる曲が全然違うんです。
作った本人にさえ想像がつかない視点で皆聴いて下さるんですね。
自分以上に自分の曲を素敵に解説してくれる方もいて、自分の曲がみなさんの中で大きく育って羽ばたいている様子を見るととても元気をもらえます。
みなさんから学ばせていただく事も本当に多いです。
それが音楽を続けるモチベーションのひとつ、感謝感謝。

でもCDを作るって本当にお金がかかります(笑)
まずミュージシャンのギャラ、レコーディングスタジオ代金、音を編集するエンジニアの費用、ジャケットデザインの費用、CDプレス代etc..
これに準備の時間も相当かけています。
それでもファンのみなさんに「ライブだけじゃなくて家でも聴きたい!!」なんて言われたら。。。
やっぱり、みなさんにお届けしたいと思うミュージシャンの性。
どのミュージシャンもきっと、みなさんのために本気で音楽しています。
ぜひ応援するミュージシャンがいらっしゃったらグッズ買ってください(笑)
間違っても「私たち3人で1枚買うわー。後でコピーするからー。」なんて言ったらダメですよ、めっちゃガッカリするから(笑)

来月のコラムでは、そんなCD制作の工程についてお話したいと思います。
ミュージシャン選びからアレンジ、レコーディング作業から編集作業、ジャケットデザインからパッケージ、いろいろな工程を経てCDが完成します。
特にレコーディングや編集の工程は、音楽していても意外と知らなかったり、興味深い方も多いのではないでしょうか。
聞きたい事があればぜひメールにてご連絡くださいね(^^)
それに回答する形でも書きたいと思います。

最後にNew Album『えん』の曲目と、ゲストミュージシャンをご紹介したいと思います!
CDのお問い合わせは岸田晃司ホームページからメールをお願いします。
岸田晃司ホームページ
http://kojikishida-fue.com/
ぜひお買い求めいただけましたら幸いです!

笛で紡いできたたくさんのご縁を思いながら名付けた『えん』、このCDがみなさんの元に羽ばたく事でさらなる縁が広がる事を願って。

岸田晃司2nd Album『えん』
\2,500(税込)
1.白妙の蓮水
2.宵宮
3.燕
4.桜
5.風来坊
6.草原の道導
7.古多万
8.大河
9.神馬
10.天の愁
参加ミュージシャン
石高万紀子(篠笛)#3
福原百貴(篠笛)#7
渡邊香澄(二十五絃箏)#6
須藤信一郎(ピアノ)#1,5,9
シンゴ(太鼓)#1,2,5,8,9,10
西島健司(ベース)#9
角谷正史(ドラム)#9

(メルマガ後記より)

みなさん、お正月はゆっくり過ごしていますか?
和楽器奏者にとって1月は繁忙期。
新春に関連した演奏がたくさん行われます。
僕も元日2日と、獅子舞の助っ人で笛を吹いておりました。
獅子舞を見かけたらぜひ頭を差し出して噛んでもらってください。
邪気を食べてくれて福がまわってきますよ!
そんなお獅子さんが好きなものは、みかんと、偉人が書かれた横長の紙(笑)
食べさせてあげたら、あなたの邪気も喜んで食べてくれるはず?

(岸田晃司・文)