風音をカッコよく吹きたい!!その1

2017/03/02

朱鷺たたらです。
会員のみなさまにお送りしているメルマガでは、
折々奏法のテクニックなどについても、触れていますが、
今月からは笛師、水落立平氏のコラムをお届けしますよ!
きっとディープな小噺が聞けるのではないでしょうか。(立平さん、ハードル上げときました)
25日に配信予定ということですよ。
お楽しみに!

今日、自分のブログで書いた話ですが、
風音につして、最近思うところあり、
よければみなさまにもお役に立てればいいな~と、
協会の方にもお邪魔させていただきます。

さてさて、
「風音をかっこうよく吹くために編」です。

最近、同時多発的に

「風音(かざおと)がうまく出せないんです・・・」という質問を受けました。

「風音」とは、笛の奏法のなかで、装飾的なもののひとつで、
言葉の通り、風のような、
ザァ~~~~ッ
とか、
ブヒョヲ~~ッ
とか、
ピウ~ッ!
とか、まあ、そんな感じで、いうなれば雑音をふんだんに含ませた音、といっていいのではないでしょうか。

風音はうまく決まればかーなり恰好よくて、
おぬし、やるな・・・感が満載なんですが、
結構難しい。

で、もう一度、風音を出すために
どんな一連の作業をしなくてならないのか、
考えてみました。
そこで、大事なことにいまさらながら気づいたので、
メモかわりに書きたいと思います。

知ってる方はスルーしてくださいね。

しかしまず、風音より前に、
おさらいです。

音を出すのに大事な要素は大きく3つあります。
1.息の量
2.息のスピード
3.息の角度(向き)

これを水道の蛇口にホースを取り付けた様でイメージしてもらえると
わかりやすいかと思います。

息の量=水の量
息のスピード=水流のスピード
息の角度=ホースの向き

水を当てる地点をある一点に固定します。
これは、ある特定の一音を出す、ということと同義と捉えてください。
水のあたる地点が自分より遠ざかれば、音が高くなり、
近くなれば音が下がる、というイメージを持ってください。

蛇口をひねって、水量を落としていきます。
ホースは同じ角度でただ持っています。
そうすると、
水はさっき狙っていた地点まで届かなくなり、
近くに落ちてしまいます。

音でいうと、ピッチが下がってきた状態、になります。
さきほどまでと同じ地点まで水を届けようと思うと(=音量を下げていきつつも、ピッチを保とうとしている)、
ホースの先をつぶして、速度をあげればいいですね。
それでも、届かなければ、角度を少し上向きにするでしょう。

笛に置き換えると、
水量が落ちてきて=息の量が少なってくる。
そのままだとピッチが下がるので、
アパチュア(唇の穴、空気の出る部分)を寄せて小さくすることで、
スピードを上げる。
それでもまだピッチ下がってきちゃったら、
息を上向きにする。
顎を上げ、視線も上げーので、
ピッチが下がるのを防ぐべく、頑張るわけです。

息の量を絞るという状況は、
1.音を小さくしたい、というとき、
2.フレーズの最後(絶対的に息がなくなってきてる~!)
こういうときです。

フレーズの処理はどんな曲でも必ずしなければなりません。
そして、上記の作業を適切に行わないと、必ずピッチが下がります。
息はもう補充できませんから。
まあ、ぶちっ!と暴力的に音をぶった切るなら構いません。
しかし、旋律によって、そんな処理しかできないようでは曲にならないものって
たくさんありますから、
やはり上記の一連の動きができるように、訓練する必要があるのです。

なんで、フレーズの最後、低い音になってしまったり、ぶちっと切れてしまったりするんだろう、
きれいにすうう~~っと消えていければいいのになあ、と悩んでいらした方は、
ぜひこの原理を理解して、ご自分のアパチュアの大きさを観察、
息の向きも観察し、
ピッチに変化がでていないか、ピッチを観察して、注意深く練習してみてください。

譜面台に鏡を置いて、ガン見!!です。
アパチュアの大きさの変化を、ガン見!!
歌口がどの程度、アパチュアから距離があるかとおかも、ガン見!!
息の向きもガン見!!
アパチュアの位置もガン見!!(歌口の中央とアパチュアの位置が延長線上にあるのか)

生徒さんにもいい続けていますが、たとえば先日も

私(以下T)「鏡見てやってるかー?」
生徒さん(以下S)「はい、見てます!」
T「そうか、アパチュア、今どんな形や?」
S「・・・え?」
T「スリットみたいになってる音してるけど、どうや?」
S「…スリットみたいになってます」
T「そうやろな。・・・あかんやないの~」

みたいなやり取りが合って、
T「楕円とか、丸のイメージや、言うてるやろ~」
というと、
S「わかってたけど、あんまり見てなかった」というわけです。

で、
T「それは見てたんとちゃう。眺めてたって言うねん」
で一緒になってアハハ!と笑ってオチがついたわけです。
でも、笑ってたんはこの時までや。
次からはよう観察しいや。
あなたの唇やで、その骨格も、わたしちゃうからな。
代わりにやってあげられへんのやからなー。

っちゅう訳で、
ぜひぜひ、たくさん自分のやっていること、観察してください。
うまく音が操作できなくて、
自分は下手や、と思う方はたくさんいはりますが、
思いたければ思ってていただいて構いませんが、そんなこと思ってもなんもならんので、
なんで失敗したのか、原因を究明してください。

この原理がわかれば、オクターブ上の音を出すためには、
3つの要素(息の量、速度、向き)のうち、
なにをどうすれば鳴るのか。
とか、考えていくとおのずとわかると思います。

で、ブログを終了してもいいのですが、
間違った答えを思い込んでもいけないし、
おせっかいなのと、生徒さんがこれを見て復習してくれることを願って、
次回、書き留めたいと思います。

風音は、そういえばどこにいった?
大丈夫、ふかーく関係しています。
忘れたわけじゃないのですが、長くなってしまったので、
本日はこれにて。(朱鷺たたら)